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「天王寺ッ、……ぁあ、やあぁぁ……それ、やだッ」
「すまぬ姫。今はこのようにすることしかできぬ」
「離してッ……ンやぁ……」
片腕で身体を支えた姫木は、やっとの思いで下肢に手を伸ばすが、天王寺の手は外せない。
突き上げるような快感が押し寄せる中、姫木の欲望が爆ぜないように、天王寺はあろうことか張り詰めている下肢の元を強く握り締め、イクことを強制的に抑え込んでいた。
与えられる快楽のはけ口がなくなり、渦となって体内を駆け巡り、姫木はそのもどかしさと苦しさに声をあげるが、天王寺はその手を緩めてはくれない。
しかし、突き上げる振動はより一層の深みと激しさを伴い、姫木の身体が崩れる。
「ひやぁっ、アア……、だめ、出したい……ぁぁ」
ガクリと崩れた身体は天王寺が器用に片腕で支え、なおも刺激を与え続ける。ワナワナと震える口からは、大量の唾液が零れ落ち、同時に涙も落ちていく。
塞き止められた欲望は、激しい疼きとなって姫木を支配する。
「ッ願い、天王寺……助け、て……ぁあ」
「……姫、しばし耐えよ」
「あ、あ、あッ……、っも、変……、変になっちゃうッ!」
欲望を塞き止められ、姫木が耐えられないと短い呼吸を繰り返しながら喘ぐが、天王寺はもっと激しく、淫らに腰を振る。それはまるで姫木を壊すように。
完全に快楽に飲まれた姫木は、揺さぶられるままただただ助けて欲しいと懇願するが、その言葉は聞き入れてもらえず、塞き止められたまま熱を打ちつけられた。
「私だけであるぞ」
「天王寺だけ、……っああ」
「そなたを乱してよいのは、私だけである」
「や、ぁッ……天王寺だけ、天王寺だけだから、ぁ……、許して……」
こんな快楽、もう耐えられないと、姫木は何度も頷きながら、天王寺の好きなようにしていいと、全部お前のものだとうわ言のように何度も繰り返す。
その言葉に真意はなくとも、天王寺は溺れてしまう。
「私の手に落ちてしまえばよいのだ」
このまま全てを預け、自分のものになってしまえばよいのだと、天王寺が囁く。
「姫は私だけのもの、他の誰にも渡したりはせぬ」
決して手放したりはしない、生涯をもって愛すると誓う。だから自分の元へ来て欲しい、自分だけを見て、自分だけを愛してほしいのだと、天王寺は想いを募らせる。
「……天王寺も、俺だけ、……のもの……っあ、っ」
「姫?! 今、なんと申したのだ」
「天王寺は、俺のだって……。俺以外に触っちゃ、……やだ」
泣き声に近い甘えた声でそんなことを言われ、薬のせいだと分かっていても、天王寺の理性は崩れていく。もう一度聞きたい、もっと自分が欲しいと言わせたい、甘えて欲しい、強く欲を欲した天王寺は、
「私が欲しいと、再度申すのだ、姫」
激しく腰を穿ちながら、強要する。
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