虹の向こう側

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…目を、閉じた。 眩暈がしたので。 そして、 目を開けた。 「なんでこんなこと、したんや」 織田が悲しそうな顔をして、靖男を覗き込む。そして男達の暗い顔・顔・顔。コンクリートの打ちっぱなしの部屋。 縛られた靖男がちらりと横を見ると、床にはビニールシートが敷いてある。およそ成人男性が一人、包める程の青いシート。 靖男はそれらにしっかりと目の焦点を合わせた。 殴られすぎたし、クスリも打ちすぎたし、どうしてまだ自分が生きているのか解らない。 自分が正気なのかも定かではないが、今から言うことだけは伝えなくてはならない。 「やるなら早よ、やってくれ。俺は行かなあかんねん。みんな待ってるんやから」 あの、向こう側に行かなくちゃ。 …虹の向こう側には、 幸せな国があると言う。 【虹の向こう側】完
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