3/11
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
――タッタッタッ、ダッダッダッダッ……  しかし、はたと気が付いた。先ほどから、違う人間の足音も混ざり始めた。しかも、一人のものではない。複数だ。  今はまだ八時半。ほかの人が通っても、全く不思議ではない時間帯だ。しかし。  悠斗が足を止める。すると、その足音も止まった。  そして再び歩き出す。すると、その足音も再び鳴りだした。  誰かが、俺をつけている?  悠斗は芸能人だ。事務所では、ストーカー被害のうわさなどもよく耳にする。しかし悠斗は、自分は男であるため関係ないと思っていた。  しかし、この足音は一体……。  悠斗の頬に、一筋の汗が垂れた。  悠斗は駆け出す。家に向かって全速力で駆けだした。  昔から様々なレッスンを受けていたおかげで、悠斗は体力に自信がある。しかし、いくら身体能力が高くても、悠斗は小学五年生。大人には、まだまだかなわない。  急に後ろから腕をつかまれる。  悠斗は思わず声を上げそうになった。が、その時。 「君さ、子役の早見悠斗くんだよね?」  驚き、すぐさま後ろを振り返る。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!