4/11
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
 手をつかんでいたのは、髪の短い太った男だった。  その隣には、二十歳くらいの茶髪の男が立っている。  悠斗はまずいと思い、すぐさま腕を振り払おうとした。が、男の腕は離れない。  しかし。 「君、この前小学生レンジャーと、キャッチボールしてなかった?」  悠斗は目を丸くした。誰だろう、こいつは。なぜ、悟と自分のことを知っているのだろう。 「タツ兄、間違いない。こいつです」  太った男がそう言うと、茶髪の男は、悠斗を値踏みするかのように、下から上へとジロジロと見つめた。  街灯の真下であったため、悠斗は暗くても、相手の顔をはっきりと伺うことができた。明るい茶髪が光に照らされ、テラテラと光っている。 「ちょっと、話したいことがあるんだ」  茶髪男が生ぬるい声を出した。それと同時に、彼の目元のほくろがぐにゃりと歪む。 「なんですか?」  悠斗は低い声で返す。茶髪男は笑みを浮かべつつ、尋ねた。 「君、この前小学生レンジャーと二人で、キャッチボールをしていたんだってね。だけどレンジャーの子に先に帰られて、一人でボールを探していたらしいね」
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!