19人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
手をつかんでいたのは、髪の短い太った男だった。
その隣には、二十歳くらいの茶髪の男が立っている。
悠斗はまずいと思い、すぐさま腕を振り払おうとした。が、男の腕は離れない。
しかし。
「君、この前小学生レンジャーと、キャッチボールしてなかった?」
悠斗は目を丸くした。誰だろう、こいつは。なぜ、悟と自分のことを知っているのだろう。
「タツ兄、間違いない。こいつです」
太った男がそう言うと、茶髪の男は、悠斗を値踏みするかのように、下から上へとジロジロと見つめた。
街灯の真下であったため、悠斗は暗くても、相手の顔をはっきりと伺うことができた。明るい茶髪が光に照らされ、テラテラと光っている。
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
茶髪男が生ぬるい声を出した。それと同時に、彼の目元のほくろがぐにゃりと歪む。
「なんですか?」
悠斗は低い声で返す。茶髪男は笑みを浮かべつつ、尋ねた。
「君、この前小学生レンジャーと二人で、キャッチボールをしていたんだってね。だけどレンジャーの子に先に帰られて、一人でボールを探していたらしいね」
最初のコメントを投稿しよう!