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悠斗は、息を飲む。
確かにそうだ。しかし、悠斗の方は二人の男性に見覚えなど、ない。あの日、公園にはちらほら人がいた。その中の一人なのだろうか。
悠斗は茶髪男の質問に対して、おそるおそる頷いた。男二人は顔を見合わせ、薄ら笑いを浮かべる。
「その子と君は、どういう関係?」
茶髪男が尋ねる。
「一応……友達、です」
「そうなんだ。でも、本当に仲いいの?普通仲が良かったら、君一人にボールを探させて、先に帰ったりしないよね」
悠斗は言葉に詰まった。なぜ、すぐに「仲はいいです」と言い返せないのだろう。そっと、男から目をそらす。
「ひどいよな。一緒にキャッチボールしていたのに、突然帰るなんて」
「でも、あいつも仕事で忙しいから……」
悠斗はうつ向いたまま答えた。
答えつつも、「こいつら何者なんだろう」と男たちの足元を見ながら考えた。
突然、こんな夜中に小学生の腕をつかみ呼び止めるなんて、この男たち、すごく怪しい。本来であれば、今すぐにでも逃げ出すべきだ。
そう、頭の中ではわかっていた。
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