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悠斗は小さくため息をつくと、そのまま階段を上がった。
「悠斗、ご飯は?」
「食べるよ。先に部屋に鞄を置くだけ」
そう言ってトボトボと階段を上がり、ゆっくりと自室のドアを開ける。
鞄を机の横にひっかけて、再び階段に向かおうと部屋を出た時、リビングから甲高い声が聞こえた。
「あの子は最近言い訳ばかり!反抗期かしら!ちょっとあなたも何とか言ってよ」
「何とかって、どうすりゃいいんだよ。俺は知らないよ。悠斗も疲れているんじゃないか?そもそも、こんな仕事させたいと言い出したのは、お前だろう」
「確かにそうだけど、二人で決めた以上、あなたもちゃんと協力してよ。あなたって、いっつも自分のことばっかり。私のことも、悠斗のことも、知らんふりよね。事務所の他のお母さんに話を聞いたけれど、どこの旦那さんももっと協力的らしいわよ」
「仕方ないだろう。俺だって忙しいんだから」
「私だって忙しいわよ!」
また始まった、と悠斗は思った。これはしばらく長引きそうだ。
悠斗は階段に座り込んだ。今リビングに入っていけば、母はますますヒートアップする。それがわかっているからだ。
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