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昔流行ったテンプレ召喚もの(主人公が要らないと言われるパターン)
人は見かけによらない。
人間、外見が全てじゃない。
そうは言うけれど、第一印象で得する人、損する人は少なくはないと思ってる。
親しくならなければその内面も解らないし、逆に長い付き合いでも第一印象が善人だったが為に、腐っていても裏の顔を知られない場合もある。
まず、出会って直ぐに判断する基準は眼に見えるもの……ビジュアルが大きいと思う。
なぜ、こんな事を今思い出しているかと言えば、目の前にファンタジーな展開が広がってて現実逃避したいからだ。
「……という訳で、あの日あの時に死を迎える運命の魂の中からピックアップして、私の持つ魔法の世界に転移させようと思ってるんです!!」
「……はぁ。そっすか。」
「ホント、ごめんね~?なんか面倒なこと頼んじゃって。」
目の前にフリフリのドレス着たキラキラした眼の美少女と、エスニック調のアクセサリーをじゃらじゃらさせたすまなさそうなイケメンが浮いていた。
俺達が乗ってた路線バスが土砂崩れに呑まれた所までは覚えてるけど、通学時間中だったのに俺一人ってどう言うことだろう?
「あ~、あのねぇ、他の人は助かったか無事にあの世に送られたかで、こんな風に救世主で呼ばれるのは数人かなぁ?」
「うんっ☆私の世界に召還される人は君一人ですよ!!あ、でも普通に転移者とか転生者はちょこちょこ受け入れたのです!!」
あ、居るんだな転生者とかって。
「そうそう。たまにはこうやって魂を混ぜないと、不健康だからね。同族で婚姻繰り返して滅びちゃうって感じかな?」
「へぇ……口に出して無いのに聴こえてんすね。」
青年の神様の方がいっそうニコニコしながら、ふと頭に浮かんだ疑問に答えてくれた。
少女神の方は、ツルペターンな胸を反らせて何故かどや顔をして居る。
「むふふふー♪だって神様だもん♪」
「腐っても神だしねぇ(笑)この子の世界に救世主や転移する魂を呼ぶのって初めてで、張りきってるんだよね~。」
だが、良いのだろうか?
救世主だとするには俺の容姿ってあまりにも………。
「俺で良いんですか?俺って……自他共に認める悪役顔っすよ?」
「えぇ~!!?そうかな!!?キリッとしてて格好いいよ!?ねぇ?良いと思うよ♪」
「う、う~ん(笑)まあ目付きは鋭いけど、でもほら、君って強面っていってもゴリゴリのオーガみたいじゃないし……向こうがキリッとした人求めてるかもだし、能力はちゃんと付けるわけだし、多分大丈夫だと思うよ~?」
本当か?普通にしてても怒ってるのかとか悪巧みしてるとか、いつも言われるんだぞ?
不良じゃないのに、やっても居ないカツアゲで指導室に呼ばれたり、万引き疑われたり、舎弟は数百人とか言われたり散々だったんだけど!?
青年の神様はメッチャ眼を逸らせてるし、信憑性皆無だぞ?
「あ、だったらね♪呼び出した人がもう手伝わなくて良いよって言ったら、私達とのんびりスローライフしようよ♪えへへへ~。」
「お前……それって自分が下界でウロチョロしたいだけだよねぇ?心配だから俺も着いてくぞ♪」
早速お出掛け準備しよう☆とウキウキしながら大きなピンクのスーツケースを出してきたフリフリ美少女神に、呆れたように突っ込みつつも準備するリストの箇条書きを始める青年神。
ただし、最後の語尾が跳ね上がっているので、ちっとも嫌そうとか面倒臭そうとは感じられず、むしろ内心ワクワクしているのが駄々漏れだったりする。
「いやいや、そういう貴方も心なしかウキウキしてないっすか?」
「「してるけど、何か?」」
むぎゅむぎゅとドレスを押し込んでいた少女神は、俺の呆れたような目を見て、ほっぺをぷくぅーと膨らませて反論してきた。
「だって!!私だってたまには下界で息抜きしたいもん!!生の現場の抜き打ち調査だもん!!」
プンプンという擬音が付く程可愛らしく抗議している後ろで、青年神はニコニコと微笑ましそうに、少女の適当に押し込んでた荷物を取り出し、綺麗畳んでに詰め直してあっという間に小山のようだったドレスを詰めきった(笑)
「まぁ、俺もウチの子が御世話になる世界に興味有るし、部下がしばらくは回してくれるしねぇ(笑)スローライフも良いよねぇ。」
バチンッとスーツケースの留め金を止めた青年神は、少女神にスーツケースを引き渡すと俺にスッと手を差し出してきた。
「改めてヨロシク~、龍ヶ崎虹夜君。俺はマグナス・イヴリール、君の元居た世界の管理者だ。マグナでもイヴでも好きなように呼びな?」
「ハイハイ!!私はメモリア・アウローラ♪リアちゃんでもメリーちゃんでもローラちゃんでも可愛ければ何でも良いのですっ♪下界でバカンスなんて初めてだよぅ♪ねぇ、虹夜君、最初に何処に行こっか♪」
すぐにお役御免て言ってるようなもんだよな、それって?
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