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「静かにしてくれ。ここで乱闘すると馬が怯えるし、君達は同郷の仲間じゃないか?どうしてそんなに敵意を向きだすんだ?」
騎士さんがフォローしてくれて有り難いけど、たぶん聞いてないんだろうなぁ。
上村は俺の周りにいた人間のなかではダントツ、話聞かない、正義漢ぶって攻撃する、ナルシスト、という三大要素を持つポンコツ主人公タイプです。
俺やクラスで浮いてる奴が何か良い事したら、何を企んでるんだ!!って大騒ぎして相手を下げて、自分上げしてたよ?
何やっても悪い方にとって騒ぐから、どうしても俺と相性が悪くて、最近はなるべく関わらないようにしてたっけ。
何故か知らないが、バス事故に会う前の世界ではいつもは陰キャな俺達のちょっとした親切心を真っ向から叩き潰して来る人が何人か居たのだ。
あなたのためを思って忠告しているんだ、悪いことは言わない、正直に言えば許すから、とまるで親切の代償に何か仕出かそうとしていると持っていくから、気弱な友達が思いきって告白しようと新密度を上げていたのをぶち壊した事もある。
ソイツに下心が無かったと言えば確かに有ったけども、逆に聞くが好きな子の好感度上げて告白しちゃいけないのか?
ちょっと良い感じになってたその子と友達は、上村の取り巻きと唆された周囲によってフラグをボキボキにへし折られ、近付かないように邪魔されて自然と疎遠になっていった。
はっ!?確かバス通学の俺達と違って、友達は徒歩通学、その子は自転車だった。
よし、邪魔者が居なくなったからくっつくかも!!
「上村、お前がこの世界に来て良かったよ。バスの事故は不運だったけど、結果的に多くの人が救われたからな。」
「ふっ、ようやく俺の方が本物の勇者と認めて敗けを認めたな!!まあ、俺は悪人にも慈悲深いからな、牢屋だけで済ませてやる!!」
いや、全然認めてないよ。
慈悲深くもないでしょうに、折角国外追放決まってウキウキで旅立てるのに犯罪者でもない俺がどうして牢屋行きになるのか。
「やだ~、勇気ってばチョー優しいぃ。」
この子は確か友達の家に用事があって帰り道が偶々途中まで一緒だった時に、俺に暴行されそうだと交番に駆け込んだ子だ。
友達の家は交番の側のマンションだったので、着いてきてるってのは間違いじゃないけどピンポン押してる俺の腕をお巡りさんが捻りあげたのは本当にビックリした。
風邪で寝込んでる友達が気付いて部屋着で出てきてくれたから良かったものの、お巡りさんは当然上の人に怒られたらしい。
友達の見舞いに学校の授業のノートのコピー持ってきただけで、事情も聞かずに腕を捻りあげて逮捕しようとしたのだからしょうがない。
いくら女子が駆け込んできたからって、声かけくらいはするもんでしょう?
その後ろで当の本人はスマホ構えて「チッつまんない」とか言ってるし、明らかに冤罪でも良いから警察のご厄介になったという事実が欲しかったのかもしれない。
両方の親にも連絡行くし、ウチの玄関先で向こうの両親が平謝りしたっけ。
ああ、そういえばその日の夕飯は俺の好物作ってくれたな~。
高校くらいからあまり周りの人には親切にして、喧嘩しないように頑張れって言われなくなったか。
「何よ。私の事をやらしい眼でじろじろ見ないでよ。極悪クズ野郎の癖に!!」
「いや……君は(面の皮厚いなぁって。)人生、楽しそうだね?」
騎士さんが居るから、どんなに俺に嫌味な態度とっても守られると踏んでるのかな?
ちなみにこの子は俺の好みの範疇から大きく離れてるので、誰といちゃつこうが絡んで来さえしなければ心底どうでも良い。
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