2人が本棚に入れています
本棚に追加
その後も騎士さんに注意されつつ神殿に着いたのだが、王女様が率いる女騎士団に通せんぼされている。
「おい、何のつもりだ?君達は陛下の命を無視するつもりか?」
どうやら王女の考えに全面的にイエスマンな女騎士団は、上村と女子達は案内するが俺は一歩たりとも神殿に踏み入れさせない気らしい。
付き添いの騎士さんに注意されても、ギロリと俺を睨んで人壁を退ける気は無いようですな。
忠誠心か王女様盲信者なのか、王命だと言っているのに神殿に着いてしまえば、何やってもバレない内に事が済むと思っているようだった。
「陛下はこの極悪非道な詐欺師に良いように騙されておられるのだ!!!顔を見れば本性など滲み出ている!!!しかも、神聖な儀式に割り込んだ こやつの信憑性など塵芥程もない!!」
「オーホホホ、油断いたしましたわね。創生の女神の神殿は男子禁制、勇者様と王族が許可したものしか入れないの!!この場で唯一の王族は私よ、私が絶対なのですわ!!」
うわー、なんてひきょうなんだー。
王女を背後に護りながら、怒り心頭で剣を俺(と護衛の男性騎士達)に突き付けて女性騎士達はジリジリと門から引き離そうと迫っている。
「それと………(邪魔なメス共がこれ以上視界を彷徨かないように)この女達は修道女にさせて(拘束させますのよ。神殿に仕える者は色恋沙汰は禁止ですもの、勇者様に色目使う気力も削ぎとりますわよ!!)勇者様が憂い無く魔王を倒せるように修行せねばなりませんもの。(嘘ですが(笑))」
後方で王女が嫌ぁな顔でニヤリと嗤うと、キョトンとしている上村の取り巻き女子にも勝ち誇ったように言い放った。
男性騎士の数は女性騎士達の半分以下、止めようとするも何処からかワラワラと現れた追加の王女親衛隊が幾重にも取り囲んで威圧してきた。
「なっ!!?ちょっと私達、神殿でちょこっと魔法教えて貰えるって言うから!!」
「そうよそうよ!!」
「何を言っている?姫様が無知な者に学びと教育の機会を下さったのだ。平民なら栄誉なことだぞ。」
いやいや、俺達、普通に学生してたから学びと教育の機会くれたヤッホーイとはならないと思うよ?
女騎士達は、学問や経典を経験できるとは素晴らしい事だ、姫様はなんとお優しい、とうちの女子達が喜んで当然みたいに言ってるが、こちとら毎日学校行ってダルいとか愚痴ってるギャル共知ってるんですよ?
そりゃもちろん、知識と技術は生きていく上で必要では有るだろうけども……。
「まずは文字と言うものを習得せねばな!!読み書きすら未知の経験だ。さぞや苦労するだろうが……」
何故か、この国の文章、ローマ字表記だったけど?
読みにくいけど読めたよ?
「あの……」
「流石お姫様だね、美人な上に優しいなんて!!ほら、折角だしみんなも頑張って魔王を退治しようぜ!!」
あれぇ?上村が女子達の退路を潰していってるぞ?
浮かれてるけど、虫見ても悲鳴をあげる都会育ちの女子を、夜営込みの戦闘に連れていく積もりなんだろうか?
それに、読み書きや経典とかの勉強するって言われても、どのレベルまでが必要なんて判らないでしょ?
それこそ、この目の前の王女様が「このレベルでは許可しない」といえば、一生修道院で飼い殺しされる未来しか見えないんだが。
まあ、常識外れな行動を押さえられる点では良いけど、戦闘して魔王を退治しようってのも、厳しい軟禁状態で下手すると何十年も出られないかもっていう二択は、ちょっと同い年の女子には可愛そうな気もする。
メリーちゃんの事だから、徐々にこの世界に慣れていけるように、なんかの救済を用意してただろうし。
最初のコメントを投稿しよう!