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例えば、上村に関しては多少の身体能力上昇と光の剣使いという珍しい属性。
王女様の言い様からして、優遇されている能力のようだし、転移して現れた地点から王城まで辿り着いてる点において、危険な辺境とか治安の悪い所ではなかったみたいだ。
取り巻き達と一緒に来たので近い場所か、同じ場所に現れたのかもしれない。
危険なならず者や動物に襲われずに来れたことに関して、上村達は全然触れてないけども、日本の感覚が染み付いてて抜けきらないんだろう。
かくいう俺もそうだからね。
あの美幼女神メリーちゃんは、相当張り切ってたから、善意MAXで生活に困らないようにと転移組や記憶持ち組にフォロー付けてたようだし。
記憶なしで転生する組は、元々まっさらな状態からスタートで前世の記憶がこの世界の常識を邪魔することもない。
不公平と言われそうだけど、前世の生活や事故のショックで魂がボロボロな人は、記憶なんて残してたら異世界転生なんて理解した時点で発狂ものだ。
あとは、幼すぎる犠牲者とかね。
あの事故のバスは通勤通学バスだから、小学生や通勤中の親に連れられた幼稚園児も乗ってた。
まあ兎に角、神様達と交流できる俺、上村達のような転移者、記憶持ち転生組、マジで輪廻転生組で各々それ相応の十分な加護が付いてるけど、活かせるかはその人次第だろうね。
ジリジリと包囲網を狭めて来る王女専属の騎士団と、公式に辞令を受けて護衛任務してる騎士団がかれこれ十分以上(体感で)睨み合ってた。
早く用事終わらせないと、メリーちゃんが痺れ切らすんじゃないかと心配だったけど、ふと向こうから数人の女性達がやってくるのが隙間から見えた。
「何事ですか、騒々しい!!」
厳しい声で咎めて来たのは、中でも年嵩の位の高そうな女性だった。
あ、そこまでオバサンではないとは思うけど、二十代後半以上とだけは言っておく。
先生っぽくて、なんだか反射的に謝りたくなってくる。
その女性を筆頭に誰かを囲むようにぞろぞろと歩いてきて、十数メートル手前で止まった。
「ほぅら、神官長のお出ましよ。貴方もこれで逃げられないわ!!観念して捕まるのね!!」
王女様がお手本のような高笑いで困惑してる俺と騎士達を煽ってきた。
いやいや、だから何もしてないし、神殿に顔見せたら俺は楽しい諸国漫遊するんだってば。
「また殿下ですか………聖なる場所で騒ぎを起こさないでいただきたいと申した筈ですよ。」
『やーい、怒られてやんの~。ぷーくすくす』
『しっ、そんな事言っちゃ可哀想なのです!!』
おっとっと?耳元でマグ兄さんとメリーちゃんの声がしたぞ?
さては、町の散策に飽きて覗き見してるな?
(メリーちゃん、もう町探検は飽きたの?ごめんな、まだまだ掛かりそうなんだけど。)
飽きてこっちに来たって事は、下見と町散歩は終わったって事かな?
そういえば、随分と朝から比べると日が高いもんな。
『お昼ごはんとして、市場の買い食いを全制覇しちまってな。』
『美味しいサンドイッチが、萎びてへにゃってなっちゃうのです!!限定50個なのに!!』
メリーちゃんはすぐに用事が終わると思ってたから、俺に昼御飯の差し入れを持ってきてくれたらしい。
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