モテる友人と腰巾着と呼ばれた男(良くある脇役主人公)

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モテる友人と腰巾着と呼ばれた男(良くある脇役主人公)

小さい頃は鼻水と泥にまみれて小汚なかった幼児でも、時が経つに連れて、とんでもなくイケメンに変身したり、国宝級美少女になったり、ヒョロヒョロなモヤシっ子からムキムキの筋肉質なお兄さんになったりってのは良くあると思う。 僕の友人がまさにそれだった。 ギョロ目の隙っ歯のいたずら小僧(友人)とチビひょろのいたずら小僧(僕)は、時が経つに連れて片方は蝶が羽化するように爽やかイケメンに、片方はそのまま平凡街道まっしぐらに育った。 サッカー部の練習でグラウンドを駆け回る奴には、いつでもファンが黄色い声援を掛けていたし、呼び出されては校舎裏では告白されまくっていた。 幼稚園からの腐れ縁の友人、貴斗はキャーキャー言われ過ぎて日常もままならないので、顔の割にそんな状況を苦手としている。 なので高校に入ってから、友人と遊ぶ方が楽しいからと断るのはいつもの事だった。 僕は生まれてこの方、どこまでも平凡一筋の普通の顔だったので、大変そうだなぁと見物していた。 どうかすると、ちょっとオタクっぽいと見られるくらいには全体的にモサッとしていた僕には橋渡し役くらいでしか話し掛けられなかったし。 ちなみに、そういう女子の裏の顔を知ってしまってるので羨ましいとかは、全然無くなってしなった。 それに自分は気づいてなかったけど、服装や髪型のセンスは皆無だったから、余計にもてない。 何せオシャレな服と思って着ていたのが、変なジャージと言われたのはショックだった。 上下はセットではなく、マネキンが着てたのをちゃんとした別売りだったけど、コーディネートしたつもりが、ダサジャージって思われてた。 あ、そうか、別売り同士を組み合わせたのがいけなかったのかな~。 ………まあ、良いか。 話を戻すが、僕と友人の貴斗は幼稚園から小学校まで一緒のクラスで、ついでに家も隣だった。 中学の時は、僕が別の中学校に行ったから高校になってからまた偶然に同じ学校になった。 別に家は変わらないので、ちょくちょく遊んでたし、受験前もどこに行くかって話してたので入学式から二人で親と一緒に車に乗り合わせて、会場に行った。 色んな学科が有るマンモス校だから、一家に一台とかだと流石に駐車場が限られてるのだ。 登校には公共機関使うにしても、学用品の買い出しの荷物が多いのでこの日だけは自家用車が増えてしまう。 そこで両家が乗り合わせ、大きめのウチの車で入学式に行ったという訳だ。 中学時代にイケメンに変身した貴斗には、持ち上がってきた同級生や先輩の中にファンクラブが有った(らしいけどよく知らない。) 知らなかった僕は、普通にゲームやなんかの話で盛り上がって集合場所に行き、普通に何の気なしに同じクラスだと喜び合い、席に着いたのだ。 帰りに一緒にご飯に連れていってもらうってので、ウキウキワクワクしてたら、何かヒソヒソと嫌な顔された。 (ん?何か服とか変なのか?朝御飯が顔について……たら、貴斗が言ってくれるよな?なんだ?) 当時はちっとも意味がわからなかったヒソヒソ話も、入学して一週間もすれば大体の内容は判ってくる。 【超モブ面の腰巾着が、おこぼれ貰おうと引っ付いて回ってる。貴斗君が可哀想。良い迷惑よね!!】 むしろ、幼馴染みの僕と久し振りに同じ高校だっていうので、浮かれてたのは貴斗ですけども。 「同じ高校で一緒のコースだなんて、新学期楽しみだな~。母さん行ってたけど、帰りにちょっと良い飯食って帰るんだよな?正己は何食う?」 「良い飯って言っても焼き肉だろう?あ、高い肉頼んじゃおうか?」 入学式の後の食事は食べ放題コースに行ったから、親たちの財布へのダメージはそこまでじゃなかった。
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