モテる友人と腰巾着と呼ばれた男(良くある脇役主人公)

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ただ、神崎は勘違いしていたが、正己の渡した封筒は、学校に提出する重要書類で、決して個人的なラブレターではなかったのだ。 息切れと当番に早く行きたかった焦りで、十分に説明出来てはいなかったが、封筒の中には分かりやすく書かれてたプリントが入っていた。 だからこそ、ちゃんと中を読んで明日持ってきて欲しいと伝えたのだが……。 次の日、登校すると何故か神崎さんの友人に突撃されて、数人の女子が僕の机の周りを囲んでいた。 「ちょっと!!!あんた、どうしてくれんのよ!!」 「えーと、何か?」 「あんたのせいでいちごが先生に呼び出されて、大変なのよ!!?」 いきなり怒鳴られても、何が何だかさっぱりだよね。 机をバンッと叩いて、鬼のような形相で怒鳴ってきてるが、心当たりが全くといって良い程無い。 でもな~、この前貴斗に伝言頼まれた件も逆怨みされたし、モブ男には激辛対応っていうデフォルトだし。 「おーいちょっと水野。お前も聞きたいことが有るから、来てくれ。」 ガラガラと教室のドアが開いて、先生が顔を出した。 その後ろには保健室の先生も一緒にいるのが見えたので、ちょっと「アレ?」と思った。 よく解らないけど、先生に着いていくと、指導室には神崎さん達も一緒にぶつぶつ言いながら着いてきてた。 「まあ、座りなさい。………昨日の事だが、言付けた封筒はちゃんと本人に渡したんだよな?」 「へ?……ああ、アレですか。渡しましたよ?帰りそうだったからダッシュして追いかけたんですよ。」 どうやら進路やなんかに対する重要書類の不備があって、保険の提出する調査票と一緒にバラけないように封筒に入れて渡した筈だったのだが。 「ウソよ!!そんなもの知らないわよ!!あんたが何処かにやったんでしょ!!女子の個人的な書類失くすなんて信じらんない、サイテー!!」 「いや……校門のところでちゃんと渡したじゃん。薄ピンクの封筒、ガッツリと手渡ししたって。」 いやいやいやいや!!?この人何言ってんすか!? あんな人目の多い所で友達も一緒に見てたじゃん? 「え!?……し、知らないわよ、そんなもの!!」 「えっ!?アレってラブレターじゃないの!!?」 しらばっくれた神崎さんに被せて、でかい声で友達の方が僕の無実を証明しちゃったよ………。 「だ、だってそんなこと言わなかったし!!」 「僕、渡してから、中身を読んで明日持ってきて欲しいって言ったじゃん。大体さ……神崎さんが早歩きで逃げるから、ダッシュして追いかけたんで息苦しかったんだ。僕だって部活の方に急いでたのに何でコッチ見てから早足になるんだよ!!?」 校庭を無駄にダッシュさせられた僕の身にもなってよ。とムッとしていると、先生がこめかみを押さえて深々と溜め息をついた。
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