第1話 『魔法のカードでご招待、ウソみたいな夢の国!』

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第1話 『魔法のカードでご招待、ウソみたいな夢の国!』

「ウソだろ!? ぜってーウソ!!」 「オーボーだっ! なんでそんなの勝手に決められんだよ!!」 「こんなのってないよ、せんせーのオニー!」  その日、朝から俺たちの5年1組はおおさわぎだった。  全生徒三〇名によるいっせいブーイング……だけど、教壇に立つ先生は、氷でできたみたいな無表情をひとつも崩しやしなかった。 「ウソでも横暴でも鬼でもない。理解できてないようだからもう一度言うぞ」  5年1組の担任・本間先生は、特に張り上げてもいないのに、俺たち全員の胃にのしかかるような声で言う。 「今後、我が校ではカードゲーム類の持ちこみは一切禁止になった。遊ばなくても、持っていれば没収だ。理由は――君たちが一番よく知っているはずだが?」  メイクひとつしていない、鋭い目つきがこちらに向けられた。 「東間(あずま)ホマレ、君は授業中カードの絵をトレースするのに夢中で既に三度の注意を受けたな」 「う、そ、それは……」 「印路(いんじ)ミア、君は美術室の備品を勝手に持ち出し、カードゲーム用に改造した」 「つ、つい、デキゴコロで……」 「そして蒲帆(うらほ)フウキ――君が一番タチが悪い」 「な、なんだよ、それ!」  出席番号1・2番の2人のあとは、当然三番の俺――蒲帆フウキにお鉢が回ってくる。それはわかってたけど、あんまりな言い草に思わず席を立ちあがった。  だけど本間先生はあいも変わらず、淡々と。
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