脱力系ごはん

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休日のお昼ごはん、と言えば、あなたは何を思い浮かべるだろうか。 家族に「なんか適当で」と言われ、 出せば出したで「えー、またこれぇ?」と言われる脱力系ごはん。 私の生まれは北海道の田舎だったので、 夏になるとジャガイモの塩ゆでが定番だった。 「はい、イモが通るよー」の母の一声で、各々食卓につく。 大きな鍋いっぱいに、茹でたばかりの熱々のジャガイモ。 まさにジャガイモがメインというか、むしろオンリー。 もしかしたら、インゲン豆の煮物ぐらいはあったかもしれない。 でもそれだって、昨日の晩ごはんの残りだ。 夏に採れる新じゃがは、皮すらむかれていないことがほとんど。 上にのせるはバターじゃなくて、安いマーガリン。 イモを箸でほろほろと崩し、 マーガリンを染みこませてから頬張ると、 ふんわりした塩っけが口の中いっぱいに広がる。 冷たい牛乳で流しこんだら、 それだけで無限に食べることができた。 でももし、大人になったいま、実家に帰省しても、 この大鍋のジャガイモが食卓にのぼることはないだろう。 結婚して家庭のある、今の私の存在は、実家ではすでに「非日常」。 たまに珍しくやってきたお客に、脱力系ごはんは出てこない。 婿や孫がいればなおさら、 あれもこれもとたくさんの皿で食卓が埋まってしまう。 塩ゆでのジャガイモの出番なんて、きっと一生回ってこない。 大人になったから、わかる。 あれは、私が「この家の子ども」だったから食べることのできた 思い出ごはんだったのだと。
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