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中学生の私は、輝かしい高校生活を夢見て、寝る間を惜しんで受験勉強を乗り切って晴れて高校生になったというのに、何一つ手にすることが出来ずにモヤモヤしていた。
こんなはずじゃなかったのに、愚痴しか出てこない私は、もはや抜け殻状態のアウトサイダーになっていた。
特にやりたい事も見つからず、人との距離の取り方も分からなくなっていた。愛想がないのが災いしてか、クラスの中の立ち位置は、吉本さんは人嫌いじゃないかという事になっている。なんとなく腫れ物に触るような扱いずらい人状態になっていた。まあ別にどうでもいいけど。
そんなこんなで気がつけば、一年前の予想とは大違いの、なんの予定もないまま夏休みに突入しようとしていた期末テスト最終日に前触れもなく事件は起こった。
「なあ、吉本さん。この前、動物園のクマのところにおったやろ。俺もあん時、近くにおってん。『あっ、こんなところに意外な人がいてるわ』って思ってんけど、『誰も声かけんなや』オーラがめっちゃ出てて、ビビッて声かけられへんかったわ。なあ、あん時いったい何してたん?」
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