ゾウはいません

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佐内君は、めっちゃフツーに話しかけてきた。昔からの知り合い、はたまた幼馴染みかくらいの距離感で。あまりのフランクさに私もフツーに答えてたわ。 「どこで見たって! 別にストーカーちゃうやんな」 絶妙なツッコミをかましたつもりやったのに、佐内君は天然な返しをしてきたわ。 「いやー 気ぃ悪くしたらごめん。なんか魂抜かれたみたいに心ここに非ずって感じやったから。遊びに来てるみたいには見えへんし、気になっててん。今日は、いい感じで誰もおらんようになって『今や』って思って」  育ちの良さが身体全体から感じられるような笑顔で答えるから、なんか拍子抜けしてしまったわ。 「なんかみんな私を天然記念物みたいな扱いしてんな、くらいに感じてたけど。どこからどう見てもらってもフツーなんですけど。なぜかみなさん勝手に誤解して具現化してはるん違うんかな」
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