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太陽はまだ本気ではない。
これから始まる新しい夏へ向け、多くの生徒は希望を胸に抱いていることだろう。
一学期が終了した。今日は終業式であった。生徒たちは給食を食べることなく家へと帰る。中にはたくさんの荷物を担ぎながら帰っているものもいた。
「午後からは隆太の家な」
「私、夏休みに遊園地に行くんだ」
「宿題今年も多すぎるわ」
様々な声の主が校庭を横断していく。校門の先に彼らを待つのは一ヶ月近くにも及ぶ休み。夏休みである。
突き刺すような日光が彼らの肌を焦がしていく。セミは今は鳴いてはいない。人の数だけ訪れる夏の些細な物語。
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