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木々の生い茂る森の中、いつもは澄んでる川が今日は少し濁っていた。
少年が三人、川に入って遊んでいる。水着に着替えることはせず、私服のままで草履を履いて。
木々の隙間から差し込まれた日差しが時折少年たちにスポットライトを当てる。跳ねた水も助長して少年たちの輝きは夜の空に浮かぶ星をも凌駕している。
一人が滑って尻餅をついた。それをみて二人は笑う。なにくそと一人は立ち上がり、小さな手で大きな水を持ち上げる。それに当たらぬようにと二人はしぶきを上げて走り出す。
そこにいるのは明日のことなど気にしない昨日のことは思い出さない今を楽しむことに専念した笑顔を浮かべた男の子たち。
一通り遊び終えた彼らは川から上がり腰を下ろした。並んで座り、澄んでいく川を前にして濁りのない笑みを浮かべてみんなで話をしている。
他愛のない意味などない会話、きっと将来覚えてないそんな会話。でも今という時は確かにそれによって彩り鮮やかに作られている。
髪から滴る水滴で黒く色付けられた石も、元の色より暗い雰囲気を出していた服も夏の暑さで前のように戻っていく。
また一つ夏の時が過ぎていった。
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