2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「ね、笑わないで聞いて。」
そう真剣な顔つきでそう言い出したのは、ある昼食の時だった。
昼の時間になると、いつも結衣、美和、沙也加、あと私、遥の4人のグループで中庭の芝生にお弁当を広げる。
だいたいいつも学校の先生の面白い話や、隣のクラスのイケメン君の話、美和の好きなアイドルの話とか、本当に他愛のない話をしてる。
今日は、相変わらず面食いの美和と沙也加が隣のクラスのイケメン君の話で盛り上がっていた。
そんな時間をぶった切ったのは、【ゆるく可愛くて天然!】みたいな、あまり深刻な話をしなさそう─それはそれで失礼だけど、そんな子─結衣が言い出した。
「ウンウン。どしたの結衣〜」
全く真剣に聞く気のない沙也加。
「えなに、黒髪マッシュのイケメン君知ってるって?狙ってなければぜひ紹介して……」
美和も同上。
サラサラのボブヘアーを左右に揺らして、結衣は大きな声で言った。
「黒髪マッシュの男の子なんて知らんわ!!
そんなに黒髪マッシュが好きなら美和が
黒髪マッシュになってしまえ!!!」
あまりに結衣が大きな声で言ったから、周りの人たちの視線を感じた。
だから慌てて私は言った。
「わかった、聞くから。どうしたの?」
若干興奮して顔に赤みを帯びさせた結衣は、
数分後もっと顔を真っ赤にさせることになるのであった。
最初のコメントを投稿しよう!