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誰もいない部屋
夜勤が始まりしばらくした夜中の1:00ごろ手が空きました。
お世話になったFさんに手だけでも合わせようと思い病室へ。
線香の煙が目に染みました。
この病院のしきたりで、亡くなった人の部屋で線香を焚き簡易的に供養するのです。
くすんだ瞳を潤わせようと瞬きをしていると、ナースコールが光っているのが見えました。
(…え)
間髪入れずに首から下げた院内用PHSがけたたましく鳴る。
画面を見て総毛立った。
亡くなった場合は患者名から部屋番号に入力し直しているはず…なのに画面にはFさんの本名。
恐る恐る通話ボタンを押して耳に当てる。
「はい…」
人の話し声が聞こえました。
しかし内容は聞き取れず、気がつけば部屋を飛び出していました。
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