アンティークカメラ

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今はまだ、 何も分からなくても良い…… いずれ必ず、 わかる時がやって来る。 その時は、 あの時のぼくの視野もわかるはず。 わかった時は、もう遅いけどね? フラッシュバックの様に、 その光景が現れるだろうから。 ぼくがなぜあの時、 君と同い年のカメラをあげたのかが。 お母さんを見てごらん? だいぶ老いてきただろう。 ぼくの母親も同じさ、 過去に執着して居る訳ではない。 お母さんが産んでくれた、 そのものの君と同じ眼をしてるからさ。 自分の歴史は、 そのカメラそのものなんだよ? どんなに高性能で、 写りが良くたって決して。 君の眼と同じ眼で、 写せるものなど今は無いからさ。 だからぼくは、 あの時に渡そうとしたんだ。 これから、 どんなに見辛くても。 それが、 君と同じ眼だからさ。 でも、 今はぼくの手中に在る。 君はあの時に、 貰うのを拒んだからね。 君が居なくなって、 これからは君の眼で見る様に。 このカメラを、 使わせてもらうよ。 ぼくより少し年上の、 このアンティークカメラを……
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