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ランプと社長
『アンリエット……』
アウトレットパークでロココ調のランプが灯っている。
『アンリエットが穏やかな人生を送れれば……』
あの時。
追っての魔女達によって作られた大風に邪魔され、二人の願いは叶わなかったけど。
『アンリエットの幸せを願っている』
「なんだ、今日も売れなかったか」
『Amukaの枕』イケオジ社長がランプを見てニヤニヤ笑った。
『……ほっといてくれ』
イケオジ社長が真顔に戻ると、
「今日でここの催事が終わるんでね。その挨拶さ」
『ふん、悪魔の枕が誰か他のヤツの魂を選んだか』
「そうさ。いつの世も、人間は極上の眠りを欲しているんでね」
『アンリエットには絶対手を出すなよ!』
「おお怖、まぁ、約束……だからな。それじゃ、あんたもゆっくりおやすみ」
『じゃあな』
イケオジ社長が後ろを向き手を挙げると歩いて行った。
ロココ調のランプが寂しそうにため息をついたのか僅かに瞬いた。
END
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