果たしてAmukaの枕は

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果たしてAmukaの枕は

「お客様…… お客様? お目覚めくださいませ」  その声と、肩の辺りを申し訳なさそうにそっと揺すられる。  それから、クスクスと笑うさざ波のような声と、こそこそ話。 「やだぁ、本当に眠っちゃうなんて」 「本当よ。社長がそばにいるのに良く寝られるわね!」 「私なら、ドキドキしちゃって眠れないわ」 「イヤだわ、あなたったら」 「あら、違う?」 「もう早く起きてくれないかしら。順番が滞ってるんだから……」  その声で安里はハッとして目を開けた。 「私……どうして……」  そこは、Amukaの枕特別販売会場に設置されていたベッドの上だった。 「お客様、当社の枕はいかがでございましたでしょうか?ふふ、お聞きするまでもないと思いますが……」  イケオジ社長が微笑を浮かべながら安里を見ている。 「あ、はい。なんだかぐっすり眠れました……あの、これ頂きます」 安里が言うと、販売員がテーブルの方へ案内してくれた。
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