果たしてAmukaの枕は

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 枕の値段は三万だった。買う予定がなかったので持ち合わせが無く安里はカードで支払った。暫く待つと店員が持ちやすいように枕を梱包して渡してくれた。 「ありがとうございました」  店員に見送られ安里は歩きながらボソッと独り言を呟く。 「まぁまぁな買い物だったけど、あの場面でいらないですとは、正直言えないわ……まぁ、今夜からこの枕を使えば『極上の眠り』が得られるんだから、ゆっくり休めるでしょ」  安里はアウトレットパークの出口へと向かったが、ふと立ち止まった。  何かを忘れていると頭の片隅で思ったのだ。何のためにここへ来たのか。安里は首を傾げた。ところが、それが何かを思い出せず、思い出そうとするのを拒む何かを感じた刹那、ふわりと記憶の底に沈んで行った。 「なんだっけ?うーん……思い出せない。まぁ、必要なら又、思い出すでしょ……」  安里は気を取り直すと、そのままバス停の方へ歩いて行った。
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