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それは、普段他人に見せることの無い自らの内側で、言葉になどしたことも無いような部分。
「私は、まあ、そうだね。死にたい、と思った。そして、ここに来た。それは間違っていないはずだ。でも、ここに来ると、死にたくない、と思うんだ。だけど、やっぱり生きるのも嫌なんだよ。随分我儘な感情だと、自分でも思うけれど。
わかってくれとは言わない。
でも、どうか何も言わずに私の、この感情を受け入れて欲しい。
私にとっては、生きることは死ぬことなんだ。自分を殺して生きるのは、自分が何者なのか、生き方も何もかもがわからないまま闇雲に進み続けるのは、死ぬよりも苦しいことなんだよ。」
「……」
普段は気になって仕方がない他人の沈黙も、今は気にならなかった。
「わかってる。生きることに意味なんてない。意味なんて、求めるだけ無駄だって。なんで生まれたのか、そんなことを考えている間に人間は老いて死んでいく。結局答えはわからないままに。だったら考えるだけ無駄だ。」
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