0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「あ、今邪魔が入ったとか思いましたよね。顔に出てましたよ。」
「なんで……。」
なぜわかったのだろう。初対面の人間にここまで心を見透かされたのは初めてだった。
「わかりますよ。表情豊かですね。」
「表情が豊かなんて初めて言われたよ。いつも無表情って言われてるのに。」
"能面"というのがここの所の私のあだ名だった。何を考えているのかわからないと言われるのは常のこと、もう諦めていた。
「そうなんですか?
僕はそうは思わないけどな…。
ところで、なんでここに来たんですか。なんにもないところなのに。」
「別に。なんとなく高いところに登りたくなったんだよ。ほら、よく言うだろ馬鹿と煙は高いところが好きってさ。」
そう、なんとなくだ。明確な目的なんてなかった。
「へぇ…ならお姉さんは馬鹿なんですか?それとも煙?」
最初のコメントを投稿しよう!