空の温度

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「あ、今邪魔が入ったとか思いましたよね。顔に出てましたよ。」 「なんで……。」 なぜわかったのだろう。初対面の人間にここまで心を見透かされたのは初めてだった。 「わかりますよ。表情豊かですね。」 「表情が豊かなんて初めて言われたよ。いつも無表情って言われてるのに。」 "能面"というのがここの所の私のあだ名だった。何を考えているのかわからないと言われるのは常のこと、もう諦めていた。 「そうなんですか? 僕はそうは思わないけどな…。 ところで、なんでここに来たんですか。なんにもないところなのに。」 「別に。なんとなく高いところに登りたくなったんだよ。ほら、よく言うだろ馬鹿と煙は高いところが好きってさ。」 そう、なんとなくだ。明確な目的なんてなかった。 「へぇ…ならお姉さんは馬鹿なんですか?それとも煙?」
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