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「そうですか……。時代なんて、そうそう変わるもんじゃないですからね……。」
「そうさ。それでも、昔はもっといい時代だったんだろうね。今よりは幾分か生きやすかったはずだ。」
昔はよかった、と零す人々を沢山見てきた。その言
葉通りなら、きっと昔は素敵な世界があったんだろう。
「そう、ですかね。お姉さんがそう言うならきっとそうなんですね。でも、今も昔もここに来る人は変わらないですよ。」
「え……?」
彼は、まるで昔を知っているかのような口ぶりで、言葉を紡ぐ。どう見ても少年と呼ぶのが相応しい歳で、私よりもずっと若く、幼く見えるのに。
「昔からここは、お姉さんみたいな疲れた人が来る場所なんです。ここから見える景色も、ずっと変わらないままです。」
「どうして君が、そんなこと……」
「ここで何をするかは人それぞれです。景色を見て帰るだけの人も、そうでない人もいます。でも、1番悲しいのは、」
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