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自分の部屋から飛び降りようと窓に足をかけた。
その時だった。
「一体何をしているんだ!?リリィ!!」
後ろから私は抱きしめられて飛び降りを阻止された。
は?
私を助けた人は私を振り向かせると怒った顔で私を見ていた。
あれ、この人……。
「なんでそんな危ない事してる!!落ちたら大変な事になるだろ!!さっきまで俺にくっ付いてたのにいきなり走り出したかと思えば窓から落ちようとしてるし……。何がしたいんだ、お前は!!」
小さくなった、レオ様!?
ちょっと待って、どうしてレオ様が家にいるの?
何事かとお父様とお母様もやって来る。
キョトンとしているとレオ様が首を傾げた。
「リリィ?どうした?」
「えっと……なんでここにレオ様が?」
そう言うとレオ様が固まった。
「は?なんでって……バイオレット公爵に挨拶しに来たって言っただろ。ていうか、『レオ様』?お前さっきまで俺の事呼び捨てだっただろ」
「え?」
なんって失礼なんだ、リリィ・バイオレット!!
そんな恥ずかしい人間に転生して本気で死にたい。
「ご、ごめんなさい!!失礼な態度取ってしまって!!これは死んでお詫びいたします!!」
「はぁ!?いいから!!気にしてない!!」
「いいえ!!むしろ死にたいです!!そうです、死ぬんです!!私は!!」
「何言ってるんだ!!頭でも打ったのか!?」
「レオ様、どうか幸せに……!!」
「人の話聞けよ!!」
レオ様に顔を掴まれて近くで顔を見られる。
自分の推しに間近で見つめられている。
ドキドキして息が出来ない。
実物、ゲームよりも魅力的で鼻血出そう。
綺麗に澄んだ青い瞳、サラサラの金色の髪の毛。
絵にかいたような王子様。
「綺麗……」
「は?」
思わず声に出していてハッとする。
今、それどころじゃないだろ自分。
「綺麗……?」
「え?はい、綺麗です。澄んだ空みたいな綺麗な瞳、天使のような金色の綺麗な髪の毛。凄く綺麗で素敵です」
ニコッと笑うとレオ様は目を見開いて私を抱き締めた。
え?
ええええええ!?
何が起きたのか理解できない。
どうして私は王子に抱き締められているの!?
「レオ様!?」
「お前……気持ち悪くないわけ?」
「え?どうしてです?レオ様が気持ち悪いわけないじゃないですか」
「なんでだよ。だって皆言ってるだろ?『彫刻みたい』『人形だ』『CGだろ』って。作り物って言われてるの、知ってるだろ?」
確かそうだったな。
ずっと王子は周りのその言葉を気にしてて、主人公以外に心を開けなくなっていたんだっけ。
自分を守るために貼り付けた笑みを浮かべて、周りに合わせて。
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