これが巷で話題になっている転生か……

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王子らしい振る舞いを強要されて苦しんでいた。 それがいつも辛くて……。 「レオ様は、ちゃんとここに存在していますよ」 「!!」 「周りに何を言われても関係ありません。彫刻?人形?CG?ふふっ、それほどまでにレオ様が綺麗で見とれてしまうという意味ですよ。レオ様の容姿に嫉妬した醜い人達のひがみになんて耳を貸す必要ありません」 「リリィ……」 あれ? ていうか、なんでリリィってレオ様の婚約者になったんだっけ? 嫌いすぎて思い出せない。 こうやってお父様に挨拶に来ているって言うのも何か変だし。 だってこの国の王子様だよ? 「今日、ここに来て良かった」 「え?」 「本当は、婚約者なんて適当に決めればいいって思ってここに来て。ただ親を納得させるためのもので、誰でもいいって思ってた。適当に選んだリリィの家に来て本当に良かったって今は心の底から思う」 「レオ様?」 「リリィ・バイオレット。俺の婚約者になってください」 抱き締められた状態でとんでもないことを言われたような気が……。 そうだ、思い出した。 王子が主人公にリリィの事を話していた。 リリィは形だけの婚約者で、親が婚約話をしてくるのが面倒で適当に選んだだけだって。 これは……そのルートを辿っている!? ダメだ ダメだ!! だってこのままだと私はしばらく死ねない!! 気軽に死んだらレオ様がまた婚約者選びをしないといけなくて、面倒な事になりかねない!! 「お、お断りします」 私がそう言うとその場に居る全員が固まった。 「リリィ!?」 お母様が私を見て青ざめている。 ごめんなさい、お母様。 私がレオ様の側に居るのは色々良くないの。 私は絶対に主人公をいじめたくはないし、何ならこの世界を不幸にしたくない。 それに何より……私は一刻も早く人生に幕を下ろしたいのだ。 生きる事になんの意味もない事は前世で痛いほどわかったから。 「レオ様は魅力的ですが、私ではレオ様に言い寄ってくる全ての女性に対してレオ様をお守りすることが出来ません。なぜなら私は死にたいから」 「……は?」 「生きる事なんて私には意味がありません。何が楽しいのです?辛くて苦しいだけの世界に生きて、何がそんなに面白いのです?だから今すぐにでも死にます。さようなら、レオ様」 そう言ってレオ様から離れようとするとレオ様にきつく抱き締められた。 「大変申し訳ないが、それは俺が許さない」 「どうして!?」 「この短時間で何があったのか分からないけど、俺はリリィがいい。リリィ以外と結婚する気なくなったから、俺の許可なく死のうとするな」 推しに結婚を申し込まれている!? そんな素敵なイベントを私が受けていいの!? ……いや、ダメだろ。 だって今の私は悪役令嬢!! 皆から忌み嫌われる存在!! 幸せになどなっていい存在ではないのだ!! 「レオ様!?」 「お前の事がもっと知りたい。これから毎日のようにここに来るから、死のうとしたらお仕置きな」 「そ、そんな……っ」 ・
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