これが巷で話題になっている転生か……

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絶望しているとレオ様がフッと笑った。 「俺と結婚して、俺と幸せになって、俺の隣で死なないと許さない」 前世では言われなかった言葉。 私を必要としていない世界だった前世。 だけど、レオ様は私を必要としてくれているの? 悪役令嬢である私を? この世界で悪役令嬢として生きていけば、きっといつかはレオ様に捨てられて自由になれるだろう。 でも私はもう生きていたくない。 もう二度と誰からも嫌われたくない。 世界は残酷なんだ。 私なんて必要ないんだから。 『必要ない』と、『お前なんて要らない』と、そう言われるのが怖い。 だからこそ、言われる前に死ぬんだ。 そうでないと私はもう耐えられない。 どうして転生なんてものが存在しているの? どうして私は生かされたの? 分からなくて何も言えなくて……。 レオ様がお城に帰ったあとも私は何も考えられなかった。 死なないと。 でも、レオ様に心配をかけないように。 「……よし」 私は気合を入れて自分の部屋の中を探索した。 さっき転生したばかりだし、私は正直リリィ・バイオレットがどんな人間なのかはっきり覚えていない。 嫌いだったし。 性格が超悪いってことくらいしか覚えてないし。 机の中には日記が入っていた。 子供の字で書かれた日常。 ワガママで、周りを振り回しているのが丸わかりの日記。 ああ、やっぱりコイツ嫌いだわ。 日記をぱたんと閉じて机に戻す。 二度と開かない。 私は窓の外を見てため息をついた。 この世界でどうやって死ねば一番迷惑をかけずにいられるだろう。 願わくば主人公が登場する前に死にたい。 誰にも見つからずに死ねる場所をまずは探さないとだな。 それから、飛び降りとか、自分でナイフで刺すとか、そういうのはレオ様に止められるだろうから。 薬、とか? でも子供で薬とかどうやって手に入れれば……。 「……はっ!!」 手に入れられないのなら、自分で作ってしまえばいいのでは!? 前世にだって『毒』というものは存在していた。 それなら毒を作ってしまえば、誰にもバレずに毒を混入させて死ぬことも可能では? 「天才かよ、私!!」 頭を抱えて歓喜する。 そうと決まればまずは両親に『薬剤師になりたいから勉強がしたい』とでも言うべきだな。 薬を作る過程を勉強しながら毒薬の研究をする。 これこそ私の自殺プラン!! 一刻も早く死にたいけど、目に見える死に方を選べば止められるに決まってるもの。 ちょっとくらい死ぬのが遅くなっても大丈夫。 ……まぁ、目を盗んで死のうとするかもだけど。 私は次の日両親に薬剤師を目指したいと宣言した。 私の予想通り、両親はとても感心していて私に薬の勉強をさせてくれた。 薬草の勉強を始めてから私はワクワクしていた。 いつかは私を殺してくれる草たちに目の輝きが止まらない。 ・
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