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「最近、薬草について勉強してるって聞いたけど」
レオ様にそう言われて飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
もうレオ様の耳に入っていたとは……。
「は、はい。将来薬剤師になりたくて」
「そうか。俺と結婚しても薬剤師の仕事は続けたい?」
「続けられるかは分かりませんが、できたら続けたいと思います。そしたら私が沢山の人を助けられるでしょ?」
助ける気は全くないけど。
むしろ私が死ぬことに全力を注ぐけど。
その過程で助けられるのなら助けるけど。
ていうか、レオ様と結婚とか幸せな事絶対に起こらないから。
悪役令嬢が王子様と結ばれるとかあり得ないでしょ。
結婚する前に死ぬ予定なんだから。
「薬学か……」
レオ様は私を見てニコッと笑った。
「まさかとは思うけど、変な薬作って死のう……なんて考えてないよな?」
「にゃっ!?ままま、まさか!?そんな事考えるわけないじゃないですか!?」
どうして分かった!?
この笑顔は何!?
カッコいいんだけど!?
ゲームには無かった笑みなんだけど!?
特別スチルか何か!?
「わ、私は思ったんです。将来はレオ様の隣に立てるのですから、死ぬだなんてそんな馬鹿げた事考えないようにしようと」
「そう?それならいいけど。その言葉が嘘でないなら、ちゃんと俺の顔見て言えばいいのに」
「うぐ……っ」
「リリィが恥ずかしがっているだけだって思っとく」
レオ様は不敵に微笑むと私の手を握った。
その顔からは『死んだら俺も死ぬから』と言わんばかりの狂気が滲んでいた。
こ、怖いんだけど!!
「ところでリリィ。今度俺と一緒に別邸に行かないか?」
「別邸?」
「薬学を勉強してるなら、近くに薬草も生えているし勉強にはうってつけの場所だと思う。リリィと一緒に行けたらって思ったんだけど」
どうして、そんな優しく笑うんだろう。
私は主人公じゃないのに。
嫌われ者の悪役令嬢なのに。
ズルいな……。
推しの笑顔をこんな近くで見せられたら、断るなんて無理だ。
「……行きたいです」
「そうか。それじゃあ、リリィを迎えに来るよ」
手の甲にキスを落とすレオ様。
ああ……。
死ぬなら今がいい……っ。
【レオ・ローズの好感度 ♡♡ 】
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