王子から遠ざけてくれる予定の弟がシナリオ通りに動かない

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今日はレオ様から誘われてレオ様の別邸に来ている。 広いお屋敷に綺麗な花畑、そして大きな湖。 ゲームではこんな場所なかった。 主人公でさえ連れてきてもらっていない場所だ。 ゲームとは違う展開に少し戸惑っているけど、もしかしてリリィは来た事あったのかな。 リリィの言葉とか正直覚えてないけど。 そう思いながらチラッとレオ様の隣に立っている少年を見る。 レオ様の弟のオリバー・ローズ。 ゲームでは攻略対象で、レオ様のストーリーだとブラコンのこの弟と主人公は仲良くなるんだよね。 そしてリリィはめちゃくちゃ嫌われている設定だった。 ゲーム通りだとしたら、彼は私とレオ様を遠ざけてくれる存在。 ジッと見ているとオリバー様と目が合った。 その瞬間嫌そうに顔を歪めるオリバー様。 こ、これは……。 嫌がられてるー!!(歓喜) よし! このまま順調にいけば、今日にでもレオ様は私から離れて行くだろう。 そうすれば私が死のうとしても止める人は誰もいない。 さぁ、オリバー様! 頑張って私とレオ様を引き裂いて!!! 「俺は少し用事を済ませてくる。オリバーと一緒に遊んでいてくれ」 そう言ってオリバー様と二人にして去って行くレオ様。 沈黙する私達。 ……薬草でも探そうか。 「おい」 突然話しかけられてオリバー様を見る。 不機嫌そうなオリバー様。 さっきまでレオ様にニコニコしてたのに。 「なんでしょう?」 「俺はお前が嫌いだ」 「はい、存じております」 「は?」 あ、しまった!! この世界ではオリバー様と私は初めて出会う。 それなのに嫌われている事を知っているだなんて、そんな変な事あり得ない。 「あ、いや、先ほどから私の事を睨んできていたので、恐らくそうではないかと思ったまでです」 そう言うと納得したように頷いた。 「兄さまにどうやって取り入ったのかは知らないけど、俺の尊敬する兄さまに何かしてみろ。お前なんてすぐに死刑にでもしてやるからな」 し、死刑……。 なんて素敵な響きなのだろう。 ああ、ダメだ。 嬉しくて興奮が抑えきれない。 ・
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