第一話 オークション

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第一話 オークション

ーー人は皆、寄生虫摂取の〝儀式〟済み男体をガンマと呼んだ。 9539c05b-5174-4477-9f66-16610448e710 「レディース・エンド・ジェントルメン! お待たせしました、エントリーナンバー三十七! ここ三十年程減少し続けている貴重な完全ブロンド男体をご紹介します!!」  受胎率が著しく低下した女性の代わりに、ベータの男性がアルファ型寄生虫の依代とされるようになって、もう何十年が経ったのだろう。ルカは目隠しをされた布の隙間から感じる僅かな光を頼りに、恐怖のあまり気を失わないようそんなことを考えていた。  アルファ型寄生虫の宿主(ホスト)になることができるベータ男性はまだまだ貴重であるらしい。まさか自身がそんな遺伝子を持っていると世界政府から知らされることになるとは、と驚いていたのが三か月程前。宿主(ホスト)になれば出産に向けた莫大な一時金が世界政府から入るが、一方で貴重な宿主(ホスト)を狙った拉致監禁やレイプ事件も世界中で横行している。宿主(ホスト)になるかどうかは、慎重に決断せねばならない。そう思っていたのが二ヶ月前。そして、宿主(ホスト)辞退の書類を提出しようとした矢先、拉致監禁されたのが一ヶ月前。それからルカは、謎の人身売買グループが経営する売春宿の一室で監禁され続けていた。 (……考えるのはやめよう。もう、どっちにしろオレはベータには戻れないんだから……)  目隠しの布が、じわりと濡れる。ベータであったルカの身体は、監禁初日にガンマへと作り替えられてしまっていた。  思い出すのもおぞましい。自身の直腸内にミミズのような寄生虫を直接入れられ、蓋をするように誰かも分からぬ男たちにそのまま一晩犯され続けた。かわるがわる男たちは「これはガンマ化への儀式だ」と繰り返した。  そうして、数週間が経った今日、ルカは人身売買用のオークションにかけられることになっている。 「では、十五億円で落札! ありがとうございます!! 続いて本日のメイン商品をご紹介しましょう!」  オークションの司会が高らかに宣言すると、目の前がパッと明るくなった。目隠しが外されたのだと気付き恐る恐る目を開けると、ルカが体育座りをしてやっとなサイズの檻の外側に薄いワインレッドの布がかけられたまま、ガラガラとキャスターで舞台上に移動している最中だった。 (あぁ、これで、オレはどこの誰かも分からないアルファ男の性奴隷になるのか)  ため息をつき、覚悟を決める。またマイクから威勢の良い掛け声がして、ワインレッドの布が勢い良く外され、スポットライトがあたるーー。 「このオークションでも実に十年ぶりの珍品! アルファ型寄生虫適性男体です!! もちろんベータからガンマ化への〝儀式〟もこの通り、終わっています!!」  司会の声と共に、ルカの両足首に着けられた足枷が自動的に引っ張られていく。 「な、なんだ?! いやだっ、やめろっ!!! みるなぁっ!!」  ルカがどれだけ叫んで暴れても無駄であった。足枷と革の拘束具しか着用していないルカの足首はみるみる檻の角へと引っ張られた。膝に着けられた拘束具も天井へと引っ張られ、ルカの恥部を観客に晒す。会場からは歓声や感嘆のため息が漏れ、色めきたつ観客の様子が伝わってくる。  ルカの脚の間には、男性の象徴とは別にーー美しい花びらが出現していた。 続
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