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そっと優しく唇を重ねると、待ちきれなかったように樹の舌が咥内に入ってくる。
ピチャッと音を立てながら、歯列をなぞったり、俺の舌に絡んだりしてきて。
そんな積極的な樹、滅多に見られないから、それだけで体温が上がる。
「本当に?本当に、俺がいなくて寂しかった?」
「…うん」
問いかければ、恥ずかしそうに小さく頷いた。
「だって、真琴や冬也と一緒に居たんでしょう?」
もっと聞きたくて、俯いた顔を覗き込む。
「そうだけど…彩音とは違うよ。本当は、彩音の側にずっといたいんだもん」
小さいけれど、はっきりと紡がれたその言葉が、ぴちゃんと心の中に一滴の清水のように落ちてきた。
やっぱり
離れることなんて出来ない
「俺も、樹とずっと一緒にいたいよ。本当は、どこに行くのだって連れていきたいんだから」
つい本音が漏れてしまった。
樹は、じっと何かを考えるように俺を見つめている。
「…樹?どうかしたの?」
瞳を覗き込んで聞いてみたら、そっと目を伏せて首を振った。
「ううん、なんでも…彩音、抱いてよ。今は、彩音をいっぱい感じたい…」
「…うん、俺も…」
耳元で囁かれた色っぽい声に、導かれるように。
その華奢な体を抱き上げて、ベッドへと向かった。
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