社長の娘

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彩音と別れて百合花と付き合いだして年末年始を終えた。 年末には百合花の実家に挨拶に行く事になり、東京へ向かった。 そこで百合花からこんな話を聞いた。 「私、遊んでるとか男を取っ替え引っ換えとか言われてるの知ってる?」 ドキリとしたのは、知っていたからで、事実を話しす事が正解か、知らない振りが正解かを考えた。 百合花には誠実に真っ直ぐにが正解と考えて素直に答える。 「うちの会社にも噂はあったから、聞いた事はあるよ。随分前にね。」 それがどうかしたの?と不思議顔を向けて見る。 百合花は少し安心した様な表情に見えた。 「私ね、別に遊んでる訳じゃないの。誰に信じてもらえなくても構わないけど、これから婚約者になるなら悟さんには信じて欲しいと思って…。」 その言葉を聞いて安心したのは俺の方だった。 「社長の娘、なんて男性は向こうから寄って来る。理由は色々だと思うけど、私自身を見てくれる人は少ないの。私は、私を見てくれる人と結婚したい。相手を見極める為にも先ずは話す、食事を一緒にする、過ごす時間が長くなればボロも出る。違うなと思えばもう連絡を取らない。それを遊んでいると言われればそうだけど…でも安易に寝たりしてない。これはほんと、信じてくれる?」 綺麗な顔で潤んだ目で言われてうんと頷いた。 「良かった。実家に彼を連れて行くのも初めてなの。」 微笑んで言われて俺の方が舞い上がった。 逆玉の輿、まさにその理想が今、目の前まで来ている。 自分の「理想の妻」になる人を捨てて叶う事もないと諦めていたセレブな生活、「逆玉の輿」が目の前に来ていた。 10月から付き合いだして、体の関係はまだないが、百合花の方から誘う事は多かった。 それをお付き合いのご挨拶もしないで簡単にそんな関係にはなれないと、拒否して来たのも、キチンと挨拶をして結婚まで持って行きたかったからだ。 誘って来たのが彩音なら、とっくにそういう関係になっている。 彩音はそういうとこは奥手で自分から誘う事はなかったし、逆に避けている様な気もしていたから、時間を掛けた方がいいと思って手は出していなかった。 今考えても残念だ。 逆玉の輿を前に心残りと言えばそこだろうと考える。 これから先は浮気など絶対にあり得ない。 婿養子となれば肩身は狭いだろうが、百合花は大事にしてくれると思うし、社長になるまでの辛抱だろう。
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