友人という名の従姉妹

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「私はノータッチだからね?何度も言うけど!」 絡みたくない!と強調して言うとはいはい、と朱莉も答えて、玄関が空いた。 「たっだいま〜。お土産あるよー。小坂のお寿司!」 千鳥足でリビングに入ってきたのは現社長の娘、真部百合花だ。 高級店のお寿司の箱詰めに飛びついて朱莉とテーブルの上に広げた。 「うわぁ〜誰の奢り?」 朱莉が聞くと上機嫌で百合花も瓶ビールを手にしてソファにドサッと座る。 「ふっ、ふ、ふぅ〜〜、佐々井さん。うふっ。お土産どうぞって。」 「デートだったんだ。」 「小坂に連れて行くって頑張るねぇーでもお土産までって…私達に気を使う事ないのに。」 言いながら彩音もいただきまーすと、小肌を口に入れた。 「じゃあ…赤身、もーらい!」 続いてパクッと朱莉が口に入れると二人でうまーっと叫んだ。 「美味しい物は人を幸せにするわよねぇ。ゆったりした時間と美味しい物。こんな贅沢はないわね。」 瓶ビールを手にお嬢様が言うが、二人でガツガツとお寿司を片付けた。 「佐々井さんと結婚するの?」 食べ終えた朱莉が聞くと、少し考えてから百合花はないわね、と微笑んだ。 「ないの!?」 「小坂の寿司、行ったのに?」 クスクス笑いながら、 「お寿司で女性を釣れると思うその考えが甘くない?居酒屋でも焼き鳥でもいいのに、予約も無しで小坂に行って、門前払いされるとこで私のパパの名前を出したのよ?私の許可も得ず。冷めない?引かない?」 と微笑んで言う。 「小坂寿司」とこの辺りで言えば有名なお寿司屋さんで、東京の何とかという有名店で修行した店主が握るお寿司が絶品! 予約で満席の高級寿司屋だ。 佐々井は子会社の営業部で、偶然に営業で行った会社の受付嬢に一目惚れして声を掛けてデートに誘い、今日2回目だと聞いていたが、朱莉も私も半分は嘘だろうなと思っていた。 近くの会社の受付嬢に、うちの親会社の社長の娘がいる事は隠されてもいない、知る人が知る事実だからだ。 そしてそんな男性も今までに何人もいて、佐々井が初めてではない。 百合花はデートに行き、見極めては離れてを繰り返している。 「理想の男性はなかなかいないわね?」 微笑む横顔は少し寂しそうで、社長の娘じゃなくて良かったと思ったものだった。
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