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*Side 結衣* 赤くなっている顔を抑えるようにして戻ると、亮介さんの姿が見当たらない。 キョロキョロとあたりをみまわすと、大きな窓の外に、手を振っている亮介さんを見つけた。 スタッフの方に促されるように、小さな扉から外にでると、 「こっち、こっちー」と手招きをしている。 その様子が子どもみたいで、くすっと笑いながら近寄る。 「なんか、楽しそうだねーテイスティングだけで酔っちゃった?」 「それは亮介さんじゃないんですか?なんか、すごいご機嫌ですよね」 「まぁ、ご機嫌といえば、ご機嫌かな。ほら、これ見て」 そう言われ先にあったのは、1本の苗木とスコップ。 ん?と首をかしげると 「これ、さっき選んだ赤ワイン用の苗木なんだ。一緒に植えよう」 スコップを手に取って説明をしてくれた。 亮介さんが堀った穴に、一緒に苗木をいれて、今度は小さなスコップで一緒に土をかけていく。 さっきの農園でも思ったけど、土の匂いも好きだし、なんだか土をさわっていると落ち着いてくる。
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