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「亮介さん、農業とかお好きなんですか?」
「んー、農業というよりも、土かな。スウェーデンいたとき、家具に使う木材の伐採にも同行させてもらってて。今思うと土の匂いとか、森の空気感とかはすごい落ち着くのかも」
考えながら、そういう亮介さんに納得する。
「たしかに!亮介さんの家具も、森林浴してるみたいな幸せな気分になりますよね」
トントンと土を上から均しながら、思ったことを口にすると、亮介さんの動きが止まった。
どうしたんだろう、と亮介さんの顔をみると、頭を抱え込んでいる。
ん?首をかしげてみると
急にスコップを置いて、私の手を取って立ち上がった。
ぎゅっと両手を握られて、向き合うと
「結衣、聞いて」真剣な声を出す亮介さん。
急に変わった空気感と、その様子に戸惑いながらも、小さく頷く。
「結衣。俺、結衣が好きだよ」
目を合わせて、じっと見つめる亮介さんから発せられた言葉は、なんの脈略もなく、唐突で。
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