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「言おうと思った」
そこで、もう一度、ぎゅっと握っていた手に力がこもったのがわかった。
「けど、あの時、そんな話をしても信用してもらえないかなって思ったんだ。
まだ、結衣に俺がどういう人間か、信頼できる人間なのか、判断してもらうような材料すら、俺らの間にはなかったよな。
そんな状態で、あの状況で、信頼してもらえるなんて、自信もなかった。
だから、ゆっくり、結衣と一緒にいる時間で、俺自身をみてもらって、信頼をしてもらってから話そうと思ってたんだ。この前、話そうと思った時も、結局トラブル対応で、話し途中になっちゃって。
結局、今になっちゃったんだよ。情けないよな。でも、これが俺の本心。」
握っていた手を上に持ち上げて、その手に口づけられる。
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