仮初めマリッジ

＃１３

その柔らかな感触に、はっ、となったのは一瞬で。

その余韻にひたる間もなく、何度も何度もついばむように重なり、下唇を甘嚙みされたり、ペロっとなめなれたり、ただただそれを受け入れるのに精いっぱいだった。

どれくらいそうしていたのか、ほっぺにチュッとされたことで、ようやく解放された。

亮介さんとの誓いのキスがファーストキスで、人生で唯一の経験な私には刺激が強すぎて、このこみあげてくるものが何なのかもわからず、目の前の亮介さんと目を合わせられず、胸に顔をうずめる。

「こんな、キス・・・」

「ごめん、ちょっと舞い上がっちゃって。でも、この先に侵入しちゃうと我慢できなくなっちゃいそうだから、それ以降は夜のお楽しみってことで」

「え、これ以上？」

腕の中の私をぎゅっと抱きしめながらユラユラさせている亮介さんは、すごく楽しそうで。

「そうだよー。これまで我慢してた分、いっぱい堪能させてほしいな」

楽しみだなーなんて言って、ほがらかに笑っている。