仮初めマリッジ

＃１

「――死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか？」

「はい、誓います」

「では誓いの口づけを」

大人の色気がにじみ出ているお顔が近づいてきて、緊張のあまりギュッと目を閉じると唇にぬくもりを感じる。

初めて感じる亮介さんの唇は思ったよりも柔らかかったけど、ヒゲのチクっとした刺激つきだった。

腕を組んでフラワーシャワーの祝福の中を歩きながら、チラッと横に視線を向けると未だ見慣れることなのない大人の男の人。私の視線に気づいたのか、ニッコリと穏やかな笑みを向けられ、この人と本当に結婚するんだという実感がようやくわいてきた。

うん、きっとうまくいくはず・・・。

この時、確かにそう思った。

だけど、自分がいかに浅はかだったか思い知らされたのは、そのすぐ後で・・・。