間章 慰霊祭

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 返答を聞いて、フィルは考えこむような間を置いた。そのあいだも、固い親指が確かめるように、ずっとリアナの指をなぞっている。薬指には指輪がある。「一度だけ剣として助ける」という、フィルの約束の指輪が。 「今夜はもうお開きにしよう。あなたは、もう休まないと」 「式典の打ち合わせは?」 「王配や竜騎手の立場じゃないから、参列してくれれば十分だよ。式のあいだは俺が隣にいるし、そのつど教えるから」  フィルは気づかわしげな顔だったが、それ以上の感情は読みとれなかった。彼の本心を知るのは、いつも難しい。
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