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慰霊祭の当日は、気持ちのいい青空が広がっていた。踊り場の窓から空を見て、屋敷中央の階段を降りて食堂へ入った。
にぎやかな食卓だった。
「腹減った~」
ヴィクトリオンはがつがつと肉をむさぼり、パンを口に詰めこみながら、そうぼやいた。弟ナイムはあきれ顔だ。
「なんでヴィクは、食べながら『腹減った』とか言うんだよ。行儀悪すぎだろ」
「フィルと朝稽古するからさ、食べても食べても、なんか空気喰ってるみたいなんだよな。ぜんぜん足りないし、マジ腹減った」
「男の子って、やっぱり、すごい食欲ねぇ」リアナは感心した。「荷運び竜みたいに食べるのね」
「俺にも覚えがあるよ」フィルも苦笑する。「今はもう、そんなに入らないな。……ほら、あなたももうすこし食べなきゃ。昼は移動なんだから」
「うん」
フィルが取り分けてくれた柔らかい鶏肉を、リアナは口にはこんだ。昨夜はあまり食べられなかったが、残りものの冷たい肉のほうが食べやすい気がする。
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