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ともあれ彼女は権力者である。引退した竜王、かつ現王デイミオンの母親というこの上ないカードを持って現れたレヘリーンに、リアナは形の上だけでも従うそぶりを見せなければならなかった。その結果が、この馬鹿馬鹿しい野掛けである。
「まあ……」
レヘリーンは手を打った。「そうでした。わたくしも、王だった時分には、五公会をずいぶん頼りにしておりました」
それは、さぞ頼りになったでしょうね、とリアナは思った。リアナ自身とデイミオンがそうだったように、王と五公とはその性質上利害が一致しないことが多い。皮肉のつもりで言っているのでないのなら、レヘリーンはまったく国政に興味がなかったと言っているも同然だった。
「どうぞ、わたくしに構わずはじめてちょうだい」
少女のように無垢な笑みとともに、上王レヘリーンはそう言った。
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