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「わ…!」
ぐんっと引っ張られて、花蓮は振り返った。
「な…なに…!?」
春樹はほんのわずか目元を染めてーーそれからハッとしたように手を離した。
「あ…ごめん……
あのさ」
「ん?」
「…なんか…
なんか困ったら…すぐ言えよな。
まだ高校生の俺なんかに…出来ることなんか少ないけど…さ」
少しぶっきらぼうだけど、温かい人ーー
花蓮はにっこり笑った。
「ありがと。
…じゃあまた」
たたたっと駆けて行く花蓮の後姿を茫然と見ながら、春樹は小さく呟く。
「っ…やっぱ可愛いよな…あいつ…
大人しくて地味だし目立たないから…まだ気付いてない野郎が多くて助かってるけど…」
その声は花蓮には届かなかった。
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