18歳(花蓮の思い出)

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「…ふ…褒めてるのか」 脱ぎ捨てたバスローブを拾う仕草さえ、恭子はとても美しかった。 恭子は少し気の毒そうに花蓮を見る。 「花蓮…早く合格できるように祈ってる」 恭子は頭を下げる花蓮の肩にポンと手を置き、部屋を出て行った。 「さて」 ゴドーが立ち上がる。 花蓮の心臓がどきりと跳ねた。 「覚悟はいいか?カレン」 「…はい」 頷きながら、素っ裸の花蓮のカラダの芯は無意識にカタカタと小さく震える。 緊張で喉が鳴った。 ゴドーはフッと笑うと、サングラスを外す。 その微笑みがなぜかとてもあたたかくてーー花蓮の緊張はわずかに緩んだ。 「…」 ーーあ… 花蓮に近づく大きなカラダ。 目を合わせるように上を向く。 ゴドーのキレイな瞳の色。 それは濃い灰色に淡い緑が混ざった不思議な色だった。
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