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あれから数日、白石先輩と私はクラスの中で恋人同士と噂があがってしまった。
そんな関係じゃないのに……。
「みどりちゃん、おはよう!」
横からひょこっと顔だして
「今日も暑いね。」
と、付け加えてきた白石先輩。
引っ込み思案の私にとって白石先輩と口をきくことは避けたいのに、白石先輩は普通に接してくる。
「また難しい顔をしてるね。どうしたの?」
白石先輩が顔を覗き込んだ。
「おはようございます、何もないです。」
クラスメイトがいないか、周りを見た。
「今日の昼、遊びに行っていい?」
「え?」
「最近、昼休み居ないから。」
キョトンとした顔をした。
昼休みになると白石先輩が来るから、わざと教室に居ないようにしていた。
「今日は日直で忙しいので……。」
「そっか。じゃあ、急がないとね。日直、頑張って。ちょっと寄る所あるから、じゃあね。」
そういうと、スタスタと歩いて行った。
そして、昼休みになった。
日誌に記入していると、
「暁さん、白石先輩が来たよ。」
クラスメイトがニヤニヤしながら私の元に来た。
それが恥ずかしくて下を向いた。
「なんで嫌そうな顔をしてんの?」
隣の席の高木君に声をかけられた。
「え?」
驚いて高木君を見た。
机に寝そびれながら
「なんでそんな顔してんのかなって。」
高木君と会話するのが初めてで緊張して
「嫌ってことじゃないけど…。」
小さく呟くように言った。
嫌というよりクラスメイトに見られるのが恥ずかしい。
「みどりちゃん、日直、終わった?」
白石先輩が目の前に来てしゃがむと、机に頬杖をついた。
白石先輩の顔が至近距離で心臓がドキッとする。
「……まだ終わってないです。」
「そっか。残念。今日屋上に誘うかなって思ってたんだけど。」
ハァーと残念そうな顔をした。
「屋上?」
「そう、昼休みの屋上は最高に気持ちがいいんだよ。みどりちゃんにも体験してほしくてさ。」
ニコッと笑った。
「屋上は立ち入り禁止のハズじゃ」
言い終わる前に
「また真面目ちゃんな面が出たね。」
そう言いながら笑う。
白石先輩の笑顔にまたドキッとして
「ルールはルールですから……。」
小さく呟いた。
「そっか。残念。」
ガクッと肩を落とした。
それと同時に丁度よくチャイムが鳴った。
「あ、やべぇ。」
白石先輩が急ぎ足で教室を出て行った。
またクラスの噂になるんだろうな思いながら、白石先輩が出て行ったドアの方を見た。
先生が来るまでの間に日誌を書いていると、
「あの先輩、明日も来そうだな。」
隣の席の高木君がボソッと言った。
高木君の方を見ると、制服のポケットに両手を突っ込んで、こっちを見ていた。
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