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昼休みになって、やっぱり白石先輩は来た。
「また来たな。」
高木君が白石先輩の方を見た。
「暇なのか、あの先輩。」
そう言って机に寝そべった。
「みどりちゃん、ご飯食べた?」
白石先輩は教室に入ってきて、前の席の人の椅子に座った。
「はい。」
「これって用はないんだけど、みどりちゃんに会いたくなって来ちゃうんだよね。」
頬を人差し指で掻きながら微笑んだ。
会いたくなる存在なんだと思うと、嬉しく思った。
「先輩は何を食べましたか?」
「僕?カレーライスだよ。」
「甘口派ですか?辛口派ですか?」
「どっちもいけるよ。」
ニコッと笑った。
こういう時間が嬉しくて自然と笑顔になる。
「今日は上機嫌だね。何か良いことあった?」
白石先輩と話せて嬉しいとは言えなくて
「何もないですよ。」
丁度チャイムが鳴って白石先輩が「またね。」と、早歩きで教室を出て行った。
その夜、今日も白石先輩から連絡来るかなとスマホを握りしめて待っていたけど、連絡は来なかった。
それがなぜか寂しく感じた。
どうして寂しく思ったのか分からない。
次の日の朝、電車に乗ったら白石先輩の横に同じ高校の制服を着た女の子がいた。
楽しそうな雰囲気に、心が苦しくなった。
どうしてこんなに苦しいのだろう……。
見ているのが嫌な気持ちになって、車両を変えた。
昼休みになった。
白石先輩と顔を合わすのが嫌になって図書室に逃げた。
「なにやってるんだろう…。」
本棚の本を眺めながら小さく呟いた。
チャイムがなって教室に戻ると高木君が
「あの先輩、今日も来てた。」
あくびをしながら
「なんかあったのか?」
「え?」
「今日、元気ないから。」
高木君にそんなこと言われると思ってなくて目を見開いた。
「元気あるよ。」
手をグーにしてピースしてみた。
「そんなキャラじゃないだろ。無理すんなよ。」
高木君の言葉がじわーと心にしみた。
なんだか涙が溢れてきて泣きそうになるのを止めたくて上を向いた。
「……高木君、ありがとう。」
流れそうになる涙をなんとか止めた。
その夜、スマホが鳴った。
『何してた?(^-^)』
白石先輩からだった。
嬉しいはずなのに、胸が苦しく感じるのはなぜだろう。
白石先輩に返す気になれなくて、そのままにした。
次の日、白石先輩に会わないように1本早い電車に乗った。
昼休みも図書室で過ごした。
白石先輩のことを思うと苦しくてたまらない。
下校時間になって帰る準備をしていると、目の前に白石先輩が来た。
「みどりちゃん、どうしたの?」
少しムッとした表情の白石先輩に目をそらした。
「……………。」
「こっち見て。」
白石先輩が私の腕を掴んだ。
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