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「あ」
思わず声をあげた。
『恋人』のずっと空白だったはずの場所に、よく知っている横顔が夕美と向かいあっていた。パズルのピースがはまったように、ぴったりと。
「いた」
夕美はしばらく、『恋人』のカードから目が離せなかった。肩の力が抜けた。胸の苦しみがすっと消えた。
カードの中では、タカヒロと自分の顔が、キスをしそうなほど顔を近づけている。タカヒロの息遣いも聞こえるような気がした。
夕美は、カードを持ってリビングに戻った。ママにカードを見せた。
「やっぱり」
ママは自分の予想が大当たりしたのが嬉しいみたいだった。
二人で笑った。
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