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「数字の意味が分からなかったから、通信班では最初全く問題にしなかった。そもそも数字の羅列とか暗号電文は、それこそ吐いて捨てるほど地球上を飛び交っている。ジャンク通信のいちいち全部を詳しく調べてはいられなかったんだ」
「これもジャンクのひとつだと…」
「小惑星の話を聞くまではな」
「日本とアメリカ、EUの衛星を総動員して、やっとさっき確定した数字だぞ。それを何で一カ月も前に発信できるんだ」
星也が詰め寄ると、野田は首を小さく振った。
「分からない。ただ、ひとつ言えるのは、この小惑星の飛来コースを事前に知っていた奴がいるってことだ」
「事前に知るって…」
「それこそ、誰かが小惑星を地球に向けて送り込んだとか」
「そんなバカな…それこそあり得ない」
「地球への衝突を狙ったのなら、ターゲットははなから明確だ」
「そんな技術を持った奴がいるもんか。小惑星を狙い通りに打ち込むなんて…。そもそも攻撃するつもりなら、事前にインパクト地点を教える訳がないじゃないか」
野田は頭を抱えた。その仕草は余りにも深刻だった。
「だって、そう考えざるを得ないじゃないか。通信は地球外から来てたんだぜ」
「地球外…」
星也は次に続けるべき言葉を失った。
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